【 2016/3 】

トレオン酸マグネシウム、記憶・認知機能改善に有用

2016年3月16日(水)〜18日(金)、東京ビッグサイトで、国内最大級の健康産業トレードショー「第34回 健康博覧会」が開催された。

機能性表示制度の解禁や認知症やロコモ対策、企業のストレスチェック義務化など、成長戦略を追い風に拡大する健康産業企業約600社が一堂に会し、3日間で約4万人のバイヤーや来場者による活発な商談や、企業や研究者によるセミナーが行われた。

日本では、この10年、20年で65歳以上の高齢者が3人に1人の割合になるといわれている。今後注目されるのが認知症対策の機能性素材。JAFRAでも、同展示会セミナーより、黒ガリンガルの脳機能改善効果について取り上げた。

黒ガリンガルはショウガ科ケンペリア属の植物で、抗酸化力の強いアントシアニンが大量に含まれている。原産地はタイを中心とする東南アジアで、 現地では「山の神様の贈り物」として古来より民間薬として利用されてきた。

今後、こうした機能性素材のニーズの高まりが期待されるが、最新の研究報告では、トレオン酸マグネシウムが記憶・認知に問題のある高齢者の認知機能改善に有用と、Journal of Alzheimer's Disease誌16.3月号で報じている。

Tsinghua University研究チームが、50〜70歳で記憶力低下、睡眠障害を自己報告する男女44人を対象に試験を行った。被験者には、トレオン酸マグネシウム(25mg/kg/日)か、プラセボを与え、6週間と12週間後に実行機能、作業記憶、注意力、エピソード記憶に関するテストを行った。

結果、トレオン酸マグネシウム投与群はトレイルメイキングテストのスピードが10%早くなったことが分かった。プラセボ群では有意差は認められなかったという。

マグネシウムは、米ぬかや昆布、わかめ、アーモンド、コーヒー、抹茶、落花生、緑黄食野菜などに多く含まれる。不足すると、神経・筋肉では痙攣、ひきつけ、しびれ、筋力低下、手足のもつれ、めまいなどを起こすとされる。精神・行動面では注意力散漫、記憶障害、抑うつ状態、消化器では腹痛、循環器では頻脈、不整脈が出るなどする。

また、マグネシウム不足は細胞のエネルギー工場といわれるミトコンドリアにも影響を与えることが指摘されている。エネルギー生成が低くなり、結果的に細胞内のカルシウムをくみ出す作業もゆっくりとなる。これは、細胞や体全体の石灰化を導き、老化の始まりとなるが、同時に病気の原因ともなる。

この他、Nutrition Journal誌16.3月号では、マグネシウム濃度と動脈の健康について報じている。National Institute of Cardiology研究チームが、30〜75歳のメキシコ人1,300人を対象に血中マグネシウム濃度を測定したところ、マグネシウム平均濃度が最 も高い群(2.18mg/dl以上)の高血圧リスクは低濃度群(1.97mg/dl)に比べ、48%低いことが分かったという。

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