【 2005/10 】

統合医療へ、米国におけるCAM(相補・代替医療)利用度は7割強

2005年10月12日(水)に、サントリーホールでNPO免疫療法懇談会主催の講演会「癌に挑む日米の統合医療」が開催された。 演者は、難波宏彰教授(神戸薬科大学大学院医療薬科学科)、バリーR.キャサレス氏(スローン・ケタリングがんセンター 統合医療事業部部長)、乾明夫教授(鹿児島大学大学院歯科学総合研究科)らで、日米の癌治療における統合医療の取り組みについて 講演した。

バリーR.キャサレス氏は、20数年前から補完・代替医療に着目、米国における統合医療研究の第一人者といわれている。 現在、勤務するスローン・ケタリングがんセンターでは、がん患者の 治療中や治療後の不快症状緩和に、マッサージや自己催眠などの心 身療法、音楽療法、針灸などの代替医療を取り入れているという。

米国では90年代に入って、国民の間で予防医学への関心が高まる。西洋医療以外の医療、オルタナティブメディスン (もうひとつの医療の意)求める動きが強まり、カイロ、鍼灸、ハーブ(薬草)療法、栄養療法、アロマテラピー、瞑想などの伝統伝承医療が 見直されるようになる。米政府も、高騰する医療費削減対策から、有効なオルタナティブメディスンを医療現場に取り入れる べく、大幅な予算を組み、NIH(米国立衛生研究所)などの公的機関を中心に、オルタナティブメディスンの可能性を検討 した。

オルタナティブメディスンは、日本では、「代替医療」と訳されたが、 世界の潮流は、西洋医療と代替医療がそれぞれの得意とする領域でコラボレーションし、相互・補完的な医療を行う 「統合医療」へと向かいつつあり、日本でも医療従事者らが関心を寄せている。

オルタナティブメディスンは、大局的に相補・代替医療(CAM:Complymentary and Medicine)とも訳されるが 米国で、2004年に、Centers for Disease Control and Prevention's (CDC) National Center for Health Statistics (NCHS)が、National Health Interview Survey (NHIS)2002年の 調査を基に、CAMの利用状況を発表している。

これは、18歳以上の成人、31,044人を対象に、鍼、アー ユルベータ、バイオフィードバック、瞑想、栄養療法、伝統療法などのCAM 27種に関してインタビュー調査し、分析したもの。

それによると、CAMの全体的な利用状況については、「これまでCAMを一度でも利用したことがある」 が全体の74.6%を占めた。また、「過去1年に利用したことがある」が62.1%だった。
CAMを種類別に見ると、「自分自身の健康のための祈り療法」がトップで43%。次いで、 「他者による自分自身の健康の祈り」が24.4%、「ナチュラル製品(ビタミン、ミネ ラル以外)」18.9%、「深呼吸運動」11.6%、「自分自身の健康のための祈りグループ への参加」9.6%、瞑想7.6%、「カイロプラクティック」7.5%、「ヨガ」5.1%、「マッサ ージ」5.0%、「食事療法」3.5%となった。

この他、「ホメオパシー」1.7%、「鍼治療」1.1%が続いた。「食事療法」では、 「アトキンスダイエット」が1.7%で最も多く、次いで、「ベジタリアン、マクロ ビオティック」が0.1〜02%となった。


Copyright(C)2005 JAFRA. All rights reserved.|HOME >