【 2006/5 】

高齢者人口の増加で懸念される脳疾患、ポリフェノール類やナットウ成分に期待

超高齢化社会の到来に伴い、アルツハイマー病をはじめとして、脳梗塞や脳卒中など脳疾患者の増加が懸念されている。これから10年後、日本では戦後生まれの団塊の世代が、65歳以上になるといわれ、アルツハイマー及び認知症患者に至っては、推定で250万人に達するとものとみられている。

こうした脳疾患の発症原因として、活性酸素による組織の損傷やアミロイドタンパク質の脳内沈着などが挙げられている。これら脳疾患の予防には、日頃からの「食」の管理が大切だが、予防素材としてはビタミンEやCを含む抗酸化食品、またワインのポリフェノール類がよく知られている。

赤ワインのポリフェノールの一種、レスベラトールは、高い抗酸化能でブドウをカビから防ぐが、以前Nature誌でも、ハーバード大学の研究グループが、レスベラトールがDNAの安定性を高め、老化を遅らせる酵素を活性化し、寿命を70%増大することを報じている。

アンチエイジング(抗老化)でも期待できるレスベラトールだが、脳疾患への予防素材としても有用性が期待されている。
Journal of Agricultural and Food Chemistry最新号で、グレープ成分のレスベラトールが脳の血流増大に有用であると報じている。


National Taiwan Normal Universityの研究者グループらによるもので、オスの成人Wistarラットを、1)対照グループ、2)脳虚血を誘発、3)脳虚血を誘発後、レスベラトール(20mg/体重kg)を静注、の3グループに分けたところ、どのグループにも血圧および心拍数の変化は見られなかったが、2)グループは、1)グループに比べ、脳への血流が65%減少したことが分ったという。また、3)グループでも血流量の減少は見られたが、その割合は35%に留まったという。

血流改善については、血栓形成の防止を行なうことが必要だが、先頃、JAFRAで、掛谷クリニックの掛谷和俊院長にインタビューを行なったところ、NKCP(精製ナットウ菌培養物)の有用性を挙げている。

これまでの研究で、健康な成人13名に1週間経口摂取させた実験では、全血通過時間の顕著な短縮がみられ、血液の流動性の改善作用があることが判っている(日本ヘモロジー学会誌)。


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