【 2006/10 】

食物繊維、血圧降下で有用性

10月4日、渋谷公会堂で「21世紀の食と健康フォーラム〜食から考える健腸生活」が開催された。この中で、大腸がん防止の食管理について、石川秀樹氏(大阪中央病院 消化器科)が講演。大腸がんを防ぐ食生活として、野菜不足を避ける、適度に乳酸菌飲料を摂取する、喫煙、などを挙げた。

近年、日本人の大腸がんが増えている。野菜については食物繊維を多く含むことから、大腸がん防止に有用であることがこれまで言われてきた。しかしながら、大腸がんの増加は、食物繊維の摂取量の減少が要因ではないことを石川氏は指摘。動物性脂質やアルコールの摂取量の増加、運動不足が関係している可能性が大きいことを報告した。

とはいえ、食物繊維ががんや各種疾患に有用であるという報告も数多くある。スウェーデンの研究グループが、閉経期後の女性11,700人以上を対象に食物繊維や植物性食品などの摂取と乳がんの発生率を分析したところ、食物繊維の摂取量が最も多いグループは乳がんに罹る危険性が40%低いことが分かったという報告もある。

最近の研究報告では、Journal of the American Dietetic Association誌06/9月号で、食物繊維が血圧降下に有用であると報じている。米農務省(USDA)研究者グループによるもので、男性7人、閉経期前の女性8人、閉経期後の女性8人を対象に、小麦(全粒)および玄米の不可溶性食物繊維、オオムギの可溶性食物繊維の効能を調べた。被験者には、1)American Heart Associations(米国心臓病協会)が推奨する食事、2)食物繊維を中心とした食事(精製した炭水化物の代わりに、小麦(全粒)、玄米、オオムギ)を与えた。

結果、最大血圧が、1)は平均2.2mmHg降下。2)は1.4から6.7mmHg降下したことが分かった。また、最小血圧は、1)は平均2mmHg降下。2)は2.9から3.7mmHg降下したことが分かったという。

卒中や血糖値降下に食物繊維が関与

この他、食物繊維については、卒中や糖尿病防止についての有用性も報告されている。 食物繊維は野菜や果物だけでなく、未精白穀類にも多く含まれるが、 ハーバード大学の研究グループが行ったNurses' Health Studyで、1984年 から7万5千521人の女性を調べた研究では、未精白穀類を最も 多く摂取した(1日2.7杯分)グループの20%で、摂取が最も少なか った(1日8分の1杯分)グループに比べ、虚血性卒中の危険性が43%低かった という報告もある。

また、ハーバード大学の研究グループによるもので、38歳から63歳までの女性7万5千人を対象にした1984年から の10年間の研究でも、未精白穀類を多く 摂ったグループで血糖値低下により糖尿病の危険性が38%減少したことが報告されている(American Journal of Public Health誌)。


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