【 2006/11 】

乳酸菌食品、アレルギー性疾患に有用

11月29日付けの朝日新聞で、乳酸菌食品にアレルギー症状を抑える効果があると報じている。厚生労働省研究班の調査で、乳酸菌食品を毎日摂取すると、アレルギー性鼻炎(スギ花粉症含む)の症状をある程度弱められることが判ったという。調査は平成17年11月〜平成18年4月の半年間、アレルギー性鼻炎(スギ花粉症含む)患者89人を2グループに分け、1)44人に乳酸菌粉末50mgを含む食品を、2)45人に入っていない食品、をそれぞれに毎日与えた。

結果、1)は鼻水や鼻づまりにあまり変化がなく、2)は花粉の飛散期に症状の悪化が見られた、という。今回の調査で使用した乳酸菌は死んだ乳酸菌。昨年、生きた乳酸菌を用いたが効果は見られなかったという。

死んだ乳酸菌の効能については、昨年7月に開催された健康フォーラム座談会「健康長寿の秘訣〜腸内細菌と機能性食品」(主催:日本食品機能研究会)で、腸内細菌研究の第一人者として知られる光岡知足氏(東京大学名誉教授)が、「生きた乳酸菌(プロバイオティクス)を摂ることが良いといわれているが、死んだ乳酸菌を摂っても免疫機能を高めることがわかっている」と述べ、花粉症などへの効用についても指摘している。 

また、アレルギー疾患と乳酸菌との関連について、「アトピー性皮膚炎の子供は腸内にビフィズス菌や乳酸菌が少ないことが報告されている」と述べ、ヨーロッパのリストニアとスウェーデンの子供との比較調査では、リストニアより、乳酸菌の摂取の少ないスウェーデンの子供のほうがアトピーが多いことが判った、と報告している。 


ところで、生きた乳酸菌、プロバイオティクスについては、腸管の細菌叢に影響を与え、腸内細菌のバランスを整え、免疫機能の向上や生体機能を調整に有用とされている。
プロバイオティクスを配合した乳酸菌製品はヘリコバクター・ピロリ感染症や旅行者下痢症のような腸管感染症など、各種感染症の予防や治療に役立つことがこれまでにも報告されている。

American Journal of Clinical Nutrition'03/2月号で、 鼻腔に侵入する病原性バクテリア(PPB)に対し、プロバイオティック飲料が有効性を発揮する という研究報告を掲載している。

スイスの研究者による研究報告で、209人の被験者にプロバイオティックミルク 65mlか、一般的なヨーグルト180gを毎日3週間与えたところ、プロバイオティック ミルクグループで鼻腔のPPBが19%減少したが、ヨーグルトグループは目立った変化は見られなかったという。

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