【 2007/4 】

魚の摂食、ぜんそくのリスク低下やIQアップに貢献

4月11日、文部科学省は、「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」を発表した。 調査は平成16年12月より実施。全国36,830の公立小中高生を対象に、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などアレルギー疾患の有病率を調べた。 有効回答は12,773,554人で、最も多かったのがアレルギー性鼻炎で9.2%、次いでぜんそく5.7%、アトピー性皮膚炎5.5%、アレルギー性結膜炎3.5%、食物アレルギー2.6%となった。

花粉症を含むアレルギー性鼻炎は近年花粉やハウスダスト、ダニ、カビなが原因で発症者の増加とともに年齢低下が懸念されている。また、ぜんそくについても同様の発症原因で、とくに小児気管支喘息の有病率が近年増加傾向にある。

ちなみに、日本人は伝統的に魚の摂食をしていることから、ぜんそくの罹患リスクが少ないことも報告されている。British Thoracic Society Winter Meeting(2003)で、ケンブリッジ大学の研究が、European ProspectiveInvestigation of Centerと呼ばれる研究プロジェクトに参加している被験者750人以上のデータを分析したところ、健康体の被験者の12%以上が、サケやサバなど脂肪分の多い魚を週に最低2回は食べていたという。一方、喘息患者は7.5%だったという。

また、Journal of Allergy and Clinical Immunology'04/10月号でも、魚油に含まれるDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸がぜんそくのリスク軽減に役立つと報じている。それによると、オーストラリアの研究グループが、家族にぜんそく歴のある子ども526人を対象に、誕生前から3歳までを調べたところ、アレルギーの危険性が高い子どもにオメガ3脂肪酸を与えると、咳の症状が軽減することが分かったという。一方、アレルギーの危険性がない子どもには、影響はなかったという。


近年子供たちの間で、魚離れが進んでいるが、魚に含まれるオメガ3系脂肪酸はぜんそくなどのアレルギー疾患のリスク低下に貢献するばかりでなく、IQアップに貢献することも報告されている。
最近の研究については、The Lancet最新号で魚摂取が子供のIQ値上昇に役立つことが報告されている。

US National Institute of Alcohol Abuse and Alcoholism研究者グループが、妊婦11875人が参加したAvon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)データを分析。被験者は、1)魚介類を食べない(12%)、2)いくらか食べる(1〜340g/週、65%)、3)340g/週以上食べる(65%)のグループに分け、出産後、子どもたちのIQを、生後6ヶ月から8歳まで測定した。
結果、1)の子どもの50%以上が、IQが最も低い分類に入ることが分った。2)は3)と比べると、IQが最も低い分類に入る割合が9%多かったという。

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