【 2007/10 】

野菜・果物、循環器病の発症リスクを低下させる

3年ほど前、米国でLow-Cab(低炭水化物)食品を摂ることがブームになった。肥満大国、米国でいわゆるメタボリック対策として、まずLow-Cab食品の摂食を、というのが一時期国民のスローガンのようになった。

今年7月に開催した日本食品機能研究会主催の「健康フォーラム2007〜食による免疫力向上とアンチエイジング」で、遠藤雄三氏(浜松医科大学 医学博士)は、人体の加齢の基本的要因として、クリケーション:糖化(フドウ糖による蛋白質の糖化)を挙げている。

つまり、ブドウ糖そのものが炎症の前駆物質となり、活性酸素の放出の要因となる。「ブドウ糖は、実際はほとんどがエネルギーとして使われるが、余ったものが溜っていくとそれ自身が炎症の引き金になる可能性が高い。こうした研究論文が2006年、2007年で各700件以上出ている」という。
炎症反応が慢性化すると、活性酸素がつねに放出され、動脈硬化や老化へと繋がる。また、遺伝子DNAの損傷さえ招き、発がんへと導かれる。

また、ブドウ糖による蛋白質の糖化を挙げ、「ここ数年の医学の動向をみるとブドウ糖そのものが炎症の前駆物質になることがわかってきた。実際はほとんどがエネルギーとして使われるが、余ったものが溜っていくとそれ自身が炎症の引き金になっていく可能性が高い。こうした研究論文が2006年、2007年で各700件以上出ている」と述べ、炭水化物の摂り過ぎはメタボリック症候群の要因となることを指摘した。

野菜や果物については、さまざまな疾患への予防効果が報告されている。最近では、厚労省研究班(津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長ら)が、岩手、秋田、長野、茨木、新潟、高知、長崎、沖縄の8県に住む男女8万人を対象に、野菜・果物の摂取状況について、最長7年間の追跡調査したところ、果物の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べ循環器病の発症リスクが19%低いことが判ったと報告している(朝日新聞10月25日付け)。喫煙すると同量摂っていても効果が減少する可能性があるという。

ハーバード・メディカル・スクールの研究チームが、136,000名を超す医療従事者を対象に1980年から16年以上にわたって行わった調査では、野菜や果物の摂取はがんや心臓疾患、糖尿病に予防効果を発揮することが判ったという(Journal of National Cancer Institute誌'00-11/1号)。


こうした野菜・果物の各種疾患への予防効果については、含まれるβ-カロチンやリコペンなどの抗酸化成分やサポニン、フェノールなどの機能性物質が関与しているとされている。最近の報告では、Journal of Agricultural and Food Chemistry誌で、野菜・果物の抗酸化成分などの機能性物質は保存しても減少しないばかりか、特定成分に限って増加することを報じている。

University of Liege研究者グループが、さまざまな野菜・果物の総フェノール成分、2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl(DPPH)ラジカル消去能、抗酸化能について調べたところ、ブラックグレープのフェノール濃度が最も高いことが分かった。また、ラジカル消去能については、グレープ、バナナ、レモンなどが高かったという。
こうした果物、野菜の貯蔵後のDPPHラジカル消去能は変わらず安定しており、フェノール成分、特にフラボノイドについては増加したという。

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