【 2007/11 】

高脂肪・高炭水化物、老化や発がんに関与

3,4年ほど前、米国でLow-Cab(低炭水化物)食品の摂食がブームになった。肥満大国、米国で高炭水化物を控えることが、いわゆるメタボリック対策のカギであるとされた。
炭水化物である糖質は、脳の栄養源でもあり、極端なカットは脳や身体の機能を低下させる。とはいえ、摂り過ぎは、脂肪の蓄積などの問題もある。また、血中の糖質(ブドウ糖)が老化や遺伝子損傷を招く活性酸素との関連も指摘されている。

今年7月に開催された「健康フォーラム2007〜食による免疫力向上とアンチエイジング」(主催:日本食品機能研究会)で、遠藤雄三氏(浜松医科大学 医学博士)が、人体の加齢の基本的要因として、クリケーション:糖化(フドウ糖による蛋白質の糖化)を挙げ、「ブドウ糖は、実際はほとんどがエネルギーとして使われるが、余ったものが溜っていくとそれ自身が炎症の引き金になる可能性が高い」と述べている。

ブドウ糖そのものが炎症の前駆物質となり、活性酸素放出の要因となる。こうした論文がここ数年、米国で数多く発表されているという。 炎症反応が慢性化すると、活性酸素の放出が常態化し、動脈硬化や老化、さらには遺伝子損傷、発がんへと繋がっていく。

Prostate誌07/11月号でも、高炭水化物の摂食の弊害を報じている。Duke University Medical Center研究者グループが、マウスに、1)低炭水化物のエサ、2)低脂肪だが高炭水化物のエサ、3)高脂肪および高炭水化物のエサのどれかを与え、前立腺がんの腫瘍増殖を調べたところ、1)低炭水化物グループの腫瘍サイズが最も小さく、生存率が高かったという。また、最も腫瘍が大きくなり、生存率が低かったのは、3)高脂肪および高炭水化物グループだったという。

高脂肪・高炭水化物の食生活ではがんリスクが高くなるが、低脂肪の食生活は卵巣がん予防に役立つことが報じられている。Journal of the National Cancer Institute誌07/10月号によると、閉経期後の健康体女性48,835人が参加し、国内の臨床センター40ヶ所で行われたWHI Dietary modification研究(研究期間平均8.1年、NIH:米国国立衛生研究所が支援)で、対照グループ約30,000人、低脂肪食事グループ約20,000人を調査。


対照グループにおける脂肪からのカロリー摂取は35%以上、一方の低脂肪グループは24%に抑えた。結果、最初4年は影響は見られなかったが、続く4年で、対照グループに比べ低脂肪グループで、卵巣がんの危険性が40%低下したという。

ただ、ハワイの研究者グループがMultiethnic Cohort Study(被験者82,483人:1993〜2002年まで研究)で、食品頻度調査(FFQ)を使い、乳製品摂取を調べたところ、一般的な全乳の摂取を増加すると前立腺がんの危険性が12%低下したが、低脂肪/無脂肪のミルクでは反対に危険性が16%増大することが分かったとも報告している(American Journal of Epidmiology誌07/10月号)。

Copyright(C)2007 JAFRA. All rights reserved.|HOME >