【 2008/7 】

納豆、エコノミークラス症候群に効能発揮

7月2日付けの朝日新聞で、岩手・宮城内陸地震で被災した宮城県栗原市の避難所に、全国から納豆が届いていると報じている。13都道府県の納豆製造業者が被災者のエコノミークラス症候群の防止のために送ったものだという。

エコノミークラス症候群は、長時間飛行機の狭いイス(エコノミークラス)に座り、足を動かさないでいると、血の巡りが悪くなり、足の静脈に血栓ができることから命名された。日常生活でも座位や寝たきり状態など長時間同じ姿勢でいるとエコノミークラス症候群を発症しやすくなる。エコノミークラス症候群になると、足の静脈に出来た血栓が血液に乗って心臓に行き、肺動脈に詰まって死に至るケースもあるという。

記事の中で、獨協医科大学法医学教室准教授の一杉正仁氏は「納豆には血栓をできにくくする成分がふくまれていて効果的」とコメントしている。

一杉氏は、納豆菌から作り出された物質、NKCP(主成分:バチロペプチダーゼF)の研究者として知られる。NKCPには、血栓溶解作用、抗凝固作用、血液粘度低下の3つの機能がある。血液粘度低下については、抗凝固剤であるヘパリンと同程度の効果があるという。

一杉氏らによる、ラットを用いた実験では、ラットの血栓症モデルに、血栓の誘発と同時にNKCPの生理食塩水溶液を腸注し、6時間後にAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)とPT(プロトロンボン時間)を測定。結果、APTTはコトロール群と比較して、用量依存的に有意な凝固遅延が示されたという。

エコノミークラス症候群の防止に役立つ機能性素材としては、他にフランス海岸松樹皮エキスやビタミンEなどが知られる。
Hypertension Research誌07/10月号で、フランス海岸松樹皮エキスが血流の改善に有用であると報じている。Hiroshima University Graduate School of Biomedical Sciences研究者グループが、若い健康体の被験者16人に海岸松樹皮のエキス(180mg/日)か、プラセボのどちらかを2週間与たところ、海岸松樹皮のエキスを与えたグループは血流が改善されたことが分ったという。

また、Circulation誌07/9月号で、ビタミンEの定期的摂取は静脈血栓塞栓症予防に有用であると報じている。Harvard Medical School研究者グループが、Women's Health Studyに参加した39,876人(45歳以上)のデータを分析。被験者はビタミンE(600IU)か、プラセボのどちらかが与えられた。
10年間の研究期間で、静脈血栓塞栓症の発症がビタミンEグループで213件、プラセボグループでは269件だったという。


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