【 2005/1 】

赤ワイン、がんをはじめ各種疾患予防に貢献

赤ワインは前立腺がんの予防に有望であるという研究報告が、International Journal of Cancer'05/1月1日号に掲載されている。
シアトルの研究グループによるもので、40〜64歳の前立腺がん患者753人のデータを 対照グループ703人と比較し、がんと飲酒の関連性を評価したところ、 1週間に赤ワインを1杯飲むと、相対的な危険性が6%低下することが分かったという。
適量の飲酒の健康効果については、これまでにも日本酒を1日コップ1〜2杯程度飲むと心臓病、卒中、 前立腺肥大などの危険性低下に役立つことなどが報告されている。

今回の報告は、赤ワインのがん予防効果に関するものだが、 赤ワインについては、これまでに心臓病をはじめとし、アルツハイマー症、抗老化などへの有効性が明らかにされている。
デンマークの研究グループが13,300人を 対象に16年間にわたって、ワインを1日1杯程度を毎月1回、毎週1回、毎日飲んだ 場合の卒中との関連性を調べたところ、卒中の危険性がそれぞれ16%、34%、32% 低下したことがわかったという報告もある。

赤ワインの有効性を発揮する成分としては、ポリフェノールの一種 であるレスベラトールが知られる。同成分は、高い抗酸化能を持ち、ブドウをカビから防ぐ作用が あるが、以前Nature誌に掲載された記事によると、細胞の寿命をのばし、アンチエイジング(抗老化)にも良いことが 報告されている。
ハーバード大学の研究グループによるもので、実験室での研究で、レスベラトールがDNAの安定性を高め、 老化を遅らせる酵素を活性化、これにより寿命が70%増大するものと同グループは指摘している。
また、アルツハイマー症については、現在「βアミロイド蛋白(注)」説が最も有力視 されているが、活性酸素のダメージによるところも大きいとされ、EやCといった抗酸化ビタミン、 また、ポリフェノール類の強力な抗酸化力による脳損傷の防止に期待が寄せられている。

ニューヨークの研究グループが、1991〜1996年、マンハッタン在住 の高齢者980人のデータを分析したところ。4年間の追跡研究期間で、260人が痴呆症を 発症、うち199例がアルツハイマー疾患で、61例は卒中原因の痴呆症だったが、 分析の結果、ワインを全く飲まないグループに比べ、1日3杯飲んだグループは アルツハイマー疾患の危険性が45%減少していることが分かったという。 (Journal of the American Geriatrics Society'04/4月号)

赤ワインのがんへの有効性についてはどうか----。
前述のレスベラトールに関しては、抗がん作用があることも報告されている。 Journal of the European Molecular Biology Organization誌に掲載された記事によると、University of Virginiaの研究グループが、レスベラトロール は、がん細胞に栄養を与えるプロテインである転写因子NF-kBの活動を抑制 することで、がん細胞を自滅させる作用があると報告している。 ただし、転写因子NF-kBのがん細胞への栄養補給を止めさせるには、ワインを グラス1杯、週に3〜4回にする必要があり、それ以上になるとかえって危険性 を増大する恐れがあるともいわれている。

一方、赤ワインについて、ネガティブ報告がないわけでもない。 International Journal of Cancer誌に掲載された記事によると、 スウェーデンの研究グループが閉経後の女性12,000人を10年間調 べたところ、ワインを1日1.5杯(約45ml)飲む場合、それ以下と比べて、乳がん の危険性が2倍になっていることが分かったと報告している。

また、ワインを多飲すると結腸がんに罹る危険性が高くな るということが、Scientific Meeting of the American College of Gastroenterologyで報告されている。 ニューヨークの研究グループによるもので、結腸がんの兆候のない被験者で 平均年齢57歳の2千人を対象に調べたところ、週に最低9杯以上のワインを飲む ヘビードリンカーは、1983年から1993年までに10年間の調査で結腸がんにかかる危険性 が3.3倍高いことが分かったという。反対に、1〜8杯の場合、その危険性は63% 低かったという。

注)βアミロイド蛋白:幾つかのタンパク質のカスのかたまり が沈着したもので、神経細胞を殺す毒性があるといわれている。


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