【 2008/11 】

ビタミンEやヨーグルトにがん予防効果

11月7日、東京・有楽町朝日ホールで、日本対がん協会の創立50周年記念シンポジウムが開催された。今回、米国対がん協会会長のジョン・セフリン氏を招き、がん死を減らすために必要な取り組みなどを論じた。この中で、セフリン氏はWHO(世界保健機関)とともに2015年までに770万人のがん死を防ぐ目標を立てているとし、貧困者を対象とした乳がんや子宮頸がんの検診プログラムの導入でがん死が減少していることを報告した。

現在、日本では年間60万人ががんに罹患し、3人に1人ががんで亡くなっている。2006年、増加するがん患者の歯止めにと、がん対策基本法が成立、「がん死亡率を今後20%減少させる」ことを掲げた。欧米に比べ、日本はがん受診率が低い。そのため、検診受診率を50%上げるとした。

日本対がん協会会長の垣添忠生氏は、今後の協会の取り組みで、「情報提供や喫煙対策、研究者やがん経験者への支援」を重要項目として挙げた。また、パネルディスカッションでは、喫煙によるがん罹患の影響について、「公共の場での喫煙制限や禁煙を試みる人の支援も重要」、「吸わない人は保険料を安くするなどの仕組みを官民で考えることが必要」などの指摘も。

肺がんは、日本人男性のがん罹患率でトップだが、最近の研究では、ビタミンEが肺がん予防に有用であることが、International Journal of Cancer誌08/11月号に掲載されている。

University of Texas M.D. Anderson Cancer Center研究者グループが、肺がん患者1,088人(平均年齢61.7歳)および健康体被験者1,414人(同じく60.8歳)を対象に、135品目National Cancer Institute's Health Habits and History Questionnaire Food Frequency Questionnaireを行った。

結果、ビタミンEで、アルファトコフェロールを最も多く摂取した群(7.73mg/日以上)では、最少群(4.13mg)に比べ、肺がんリスクが53%低かったことが分かった。
その他のトコフェロール(ベータ、ガンマ、デルタ)では有意な影響は見られなかった。また、全てのトコフェロールを摂取した場合、最多摂取群(12.95mg以上)では、最少群(6.68mg)に比べ、リスクは55%低かったという。

また、ヨーグルトは膀胱がん予防に有用であると、American Journal of Clinical Nutrition誌08/11月号に掲載されている。Karolinska Institute研究者グループが、被験者82,000人を対象に食習慣を9年間調査した。
結果、ヨーグルトを1日2個、またはヨーグルト ドリンクを摂取した場合、全く摂取しなかった場合と比べ、膀胱がんのリスクが女性で45%、男性では36%低減することが分ったという。


Copyright(C)2008 JAFRA. All rights reserved.|HOME >