【 2010/1 】

ビタミンE最新研究報告、脳障害や肺がんの予防

2010年1月22日・23日、慶応義塾大学芝共立キャンパスで、「第21回 ビタミンE研究会」が開催された。今回は10の口頭発表と2つの招待講演が行われた。23日の招待講演では、東北大学農学研究科の宮澤陽夫氏が「食品トコトリエノールに期待される機能性」と題してビタミンEの一種、トコトリエノールの最新研究報告を行った。

トコトリエノールはトコフェノールを上回る抗酸化能を示すとされているが、宮澤氏によると、トコフェノールにはない「血管新生抑制効果」がみられ、これにより「がん抑制効果」が期待できるという。
トコトリエノールは米ぬかに多く含まれる。食品からは、パーム油由来のトコトリエノールを摂ることが多いとも。

トコトリエノールの最近の研究では、Journal of Neurochemistry誌10/1月号が、脳卒中後の脳障害予防に有用と報じている。
Ohio State University研究者グループによるもので、脳卒中後に活性化され神経変性を引き起こす酵素により、アラキドン酸が分泌、細胞死が起きると考えられている。

研究者グループは、脳卒中を誘発させたマウスにαトコトリエノール(250ナノモール)を暴露させた。結果、酵素の活性化が抑制、アラキドン酸の濃度が60%減少したことが分ったという。

この他、ビタミンEについては、肺がん予防への有用性が報告されている。
International Journal of Cancer誌08/11月に掲載された記事によると、 University of Texas M.D. Anderson Cancer Center研究者グループは、肺がん患者1,088人(平均年齢61.7歳)および健康体被験者1,414人(平均年齢60.8歳)を対象に、135品目National Cancer Institute's Health Habits and History Questionnaire Food Frequency Questionnaireを行った。

結果、ビタミンEで、アルファトコフェロールを最も多く摂取した群(7.73mg/日以上)では、最少群(4.13mg)に比べ、肺がんリスクが53%低かったことが分かった。その他のトコフェロール(ベータ、ガンマ、デルタ)では有意な影響は見られなかったという。

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