【 2010/5 】

脳機能に、葉酸やレスベラトールが関与

近年、うつ症状に悩む人々が増えている。また、高齢者人口の増加に伴い、アルツハイマー症などの認知症対策も急務とされている。

5月25日付けの朝日新聞によると、日本生物学的精神医学会が「脳バンク」の設立を掲げたという。死亡した人の脳を凍結保存し、うつや認知症、パーキンソン病などの研究に役立てるのが目的で、来年中にも全国の大学や研究機関で、提供希望者の生前登録を募るという。

現在、日本の自殺者は3年連続3万人以上を数える。50代以上の中高年が多いが、近年、経済的な問題が大きな要因として挙がっているといわれている。

最近の研究では、葉酸がうつ病予防に役立つという報告記事が、European Journal of Clinical Nutrition誌10/2月号に掲載されている。日本における研究報告だが、記事によると、International Medical Center of Japan研究者グループが地方自治体職員530人(男性313例、女性217例、21〜67歳)の健康診断データを分析。Center for Epidemiologic Studies Depressionスケールなどを使用してうつ症状を評価、また血清中の葉酸濃度も測定したところ、男性113例(36.1%)、女性79例(36.4%)にうつ症状が認められ、男性の葉酸最高濃度群ではうつ症状の発現が50%低下していることが分ったという。

アルツハイマー症については、現在のところ、β-アミロイド蛋白説が最も有力視されている。β-アミロイド蛋白は、タンパク質のカスのかたまりが沈着したもので、神経細胞を殺す毒性があるといわれている。

また、活性酸素による損傷も指摘されているが、これには、ビタミンEやC、ポリフェノール類などの強力な抗酸化成分が有用であるともいわれている。

ポリフェノールについては、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種、レスベラトールが、高い抗酸化能を有し、ブドウをカビから防ぐが、心臓病予防や抗老化、さらにはアルツハイマー症の予防効果も報告されている。

Journal of the American Geriatrics Society'04/4月号の記事によると、ニューヨークの研究グループが、1991〜1996年、マンハッタン在住の高齢者980人のデータを分析したところ、4年間の追跡研究期間で、260人が痴呆症を発症、うち199例がアルツハイマー疾患で、61例は卒中原因の痴呆症だった。

分析の結果、ワインを全く飲まないグループに比べ、1日3杯飲んだグループはアルツハイマー疾患の危険性が45%減少していることが分かったという。

ただ、最新の報告では、レスベラトールは脳血流改善に役立つものの、認知機能には効果が見られないことも報告されている。
American Journal of Clinical Nutrition誌10/5月号に掲載された記事によると、Northumbria University研究者グループが健康体被験者22例を対象に、プラセボあるいは、トランスレスベラトール250mgか500mgのいずれかを与えた。
投与後、被験者の血流および認知機能を評価したところ、脳の血流量がレスベラトール投与群において用量依存で増加したことが分った。ただ、認知機能には効果が見られなかったという。

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