【 2010/6 】

腸内環境を整え、幼児のアレルギー疾患を防止

近年、子どもの健康状態が懸念されているが、その要因として食の変化が指摘されている。
2010年6月12日(土)、(財)成長科学協会主催の第23回 公開シンポジウム「食と栄養から心の発達と体の成長を考える〜今、子どもの食が危ない〜」が開催され、帝京大学医学部小児科教授の児玉浩子氏が最新の研究を報告した。

この中で、近年、幼児についての分析で、肥満児童が増加する一方で、痩せ過ぎの児童も増えている、いわゆる標準の子どもが減少しているというデータが発表された。ライフスタイルや食の変化が児童の体質形成に大きく関与していることが指摘された。

この4月に東京都が公表した調査では、都内の3歳児のおよそ4割がアトピーや鼻炎、食物アレルギーなどなんらかのアレルギー疾患を発症していることがわかったと報告している。加工食品の摂食率が高まっていることがそうした疾患の背景にあるとみられている。

日本における腸内細菌研究の第一人者として知られる光岡知足氏(東京大学名誉教授)は、以前、日本食品機能研究会主催の健康フォーラム「健康長寿の秘訣〜腸内細菌と機能性食品」の中で、乳幼児の腸内細菌層について触れ、生まれたての赤ちゃんの場合、ミルクの乳糖でビフィズス菌が増え、それらが腸内の95%を占めると述べている。 しかし、その後、ストレスや加齢で悪玉菌が増え、免疫低下や各種疾患罹患へとつながっていくという。

腸内においてビフィズス菌のような有用菌は、野菜・果物などに多く含まれる食物繊維を摂ると増えるが、肉食に偏ると減り、逆に悪玉菌が増える。腸内の善玉・悪玉のどちらが優位かが、子どもの体質の良否を左右するようになる。「アトピー性皮膚炎の子供は腸内にビフィズス菌や乳酸菌が少ないことが報告されている」と光岡氏はいう。
ヨーロッパのリストニアとスウェーデンの子供との比較調査では、リストニアの子供のほうがアトピーになりにくく、スウェーデンのアトピーになった子供には乳酸菌が少ないことが判ったという。また、花粉症についても腸内細菌が関与しているという。

最近の報告でも、乳酸菌など腸内有用菌が皮膚疾患の予防に役立つという報告が、New York Academy of Sciencesシンポジウム(2010/6)で発表されている。
Department of Pediatrics、Lviv National Medical University研究者グループによるもので、1〜3歳の幼児90例を、プロバイオティクス投与群(DDS-1乳酸菌+フラクトオリゴ糖を含むビフィズス菌UABLA-12、計10bn CFU/g)またはプラセボ群に分けた。

4週間の経過観察後、アトピー性皮膚炎を評価するSCORAD指数で査定した結果、両群とも改善が見られたが、8週間後に評価したところ、SCORADスコアの低下率はプロバイオティクス群で34%、プラセボ群は19%だったという。

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