【 2005/4 】

野菜、がんをはじめ各種疾患予防に有効性発揮

野菜・果物に多く含まれるカロチノイドをはじめとする機能性物質は、がんをはじめとする各種疾患の予防に有効性を発揮するということはこれまでに多くの研究で報告されている。

野菜・果物を多く摂るとすい臓がん予防に役立つという研究報告が、International Journal of Cancer'05/5月1日号に掲載されている。 モントリオール大学の研究者グループが、すい臓がん患者585人の食事パターンとがんに罹っていない被験者4,779人のそれとを比較したところ、男性グループで最も多く野菜・果物を摂っていたグループは、すい臓がんに罹る危険性が半分になっていることが分った。ただ、女性グループでは、食生活との関連性は認められなかったという。

米国ではがん予防対策の一貫として、1990年に「デザイナーフーズ」プロジェクトを開始、野菜の機能性研究を盛んに進めた。また、米国立がん研を中心に、健康・医療の公共機関が協力し、健康維持のために野菜・果物の摂取増を目指す食生活改善運動「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)」を展開。野菜・果物を1日に5皿分以上摂ることを目標とした。そうした取り組みは功を奏し、コレステロール低下やがん予防の成果へと繋がっていく。

ブロッコリーやキャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科野菜にがん抑制物質

野菜の機能性については、「デザイナーフーズ」プロジェクトなどの研究成果により、とくにブロッコリーやキャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科野菜に含まれる成分ががん予防に有効性を発揮することがわかっている。

Journal of the National Cancer Institute'00/1月号では、 Fred Hutchinson Cancer Research Centerの研究グループが、 シアトル地域にすむ男性1,230人(半数は前立腺がん患者)を対象に野菜や果物 の種類と前立腺がんに対する影響を調べたところ、野菜を1日3人分食べるだけで、 前立腺がんの危険性が45%減少することがわかったという報告記事を掲載している。野菜の中では特にブロ ッコリー、キャベツなどの有効性が高く、他の野菜と比べ、1週間に3人分以上 食べるだけでも前立腺がんが41%減少することがわかったという。

ブロッコリーに含まれる成分のスルフォラファン・グルコシノレート(SGS)は強い抗酸化力を持ち、 炎症反応を抑制することが分かっている。

我々が呼吸により酸素を取り入れる際、1〜2%が活性酸素となる。活性酸素は身体の重要な防衛機能を果たすが、過剰に発生すると、逆に身体を損傷させ、老化や動脈硬化、がんなどの各種疾患を引き起こす原因となる。野菜の持つ抗酸化力は活性酸素に対抗し、健康を維持する上で重要なカギとなる。

スルフォラファンについては、胃潰瘍や胃がんの主原因と疑われるヘリ コバクター・ピロリ菌を殺す作用があることも、ジョンズ・ホプキンス医科大学と仏科学研究センターの研究グループらにより報告されている。 また、O-157といった菌に対しても殺菌作用があるといわれている。


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