【 2011/10 】

オメガ3系脂肪酸、心臓の健康維持に貢献

10月26日(水)、DHA・EPA協議会及び財団法人日本水産油脂協会主催による公開講座「人の一生における脳・神経機能とオメガ3」が開催。この中で、横越英彦教授(静岡大食品栄養科)が動物実験やヒト試験におけるオメガ3系脂肪酸の有用性について報告した。

横越氏は魚の動態に着目。「カツオやマグロは永久に泳ぎ続け、逆に泳がなければ死んでしまう。魚類は泳ぎ続けることで、疲労物質やストレスを取り除く防御機能があるのではないかという仮説を立てた」という。

そこで、横越氏らは、大型の魚類に特異的に多く含まれるアンセリンに注目し、アンセリンの疲労に対する影響を動物実験で検討した。マウスに強制水泳や懸垂運動を行わせてストレスと負荷を与え、アンセリン投与の有無で比較した。

その結果、アンセリンを投与されたマウスは、投与されないマウスより運動能力を長く維持することが分かった。また疲労の指標である乳酸の蓄積を抑えることが分かったという。他にも、活性酸素消去機能や血圧降下作用も認められたという。

オメガ3脂肪酸に関する最新の研究では、オメガ3脂肪酸が女性の心臓の健康維持に有用であることが、American Journal of Clinical Nutrition誌2011/9月号に掲載されている。 Institute of Preventive Medicineなどの研究者グループが、デンマークの健常男女3,277人を対象に調べた。観察期間の23年に、471例の虚血性心疾患(IHD)が診断された。


これに関して、アルファリノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)との関連を評価したところ、ALA摂取は心疾患リスク予防に有意な有効性は認められなかったが、EPAとDHAについては、高摂取群(0.45〜11.2g/日)の女性のみ、IHDのリスクが38%低下したことが明らかになったという。

また、オメガ3脂肪酸は2型糖尿病予防にも役立つことが、American Journal of Clinical Nutrition誌2011/8月号に掲載されている。
中国のSingapore Chinese Health Studyで、45歳から74歳の慢性疾患に罹患していない男女43,176人のデータ(1993〜2004年)を分析。結果、オメガ3脂肪酸摂取で、高摂取ほど糖尿病リスクが下がることが分かったという。

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