【 2011/11 】

コーヒー摂取、うつ症対策に有用

2011年11月2日(水)、食と生命のサイエンス・フォーラム「コーヒーと糖尿病についての最新知見」が開催された。 この中で、近藤和雄氏(お茶の水女子大学 生活環境教育研究センター)が「コーヒー摂取と生活習慣病」と題して講演した。

近藤氏らのチームは、食品の色素成分や苦み・渋み成分であるポリフェノールに注目し、機能性の研究を続けているという。

近藤氏らが日本人の主要なポリフェノール源となる食品を調査したところ、緑茶以上にコーヒーからのポリフェノール摂取が最も多いことが明らかとなった。そのため、コーヒーが抗酸化物質の摂取源として一定の役割を果たしているのではないかとの仮説を立てたという。

最初にLDLコレステロールに対する抗酸化作用を調べたところ、コーヒーを摂取した健常成人ではLDLが酸化されるまでの時間が延長されることが明らかとなった。また動脈硬化の初期段階の特徴として、血管内皮機能の障害(老化)が上げられるが、コーヒー摂取の影響を検討したところ、FMDという最新の検査によって血管の若返りが認められる数値が測定されたという。

コーヒーに関する最近の研究報告では、コーヒーが女性のうつ病予防に有用であることが、Archives of Internal Medicine誌2011/10月号に掲載されている。 Harvard School of Public Health研究者グループが、平均年齢63歳の女性50,739人を対象に、1980年に遡って被験者のコーヒー摂取状況を調べ、1996年〜2006年の10年間のうつ状態を分析した。結果、コーヒーを1日2〜3杯飲んだ場合、抑うつ症状の発症リスクが15%減少することが判明した。また、4杯飲んだ場合では、20%減少が認められたという。


また、コーヒーの高摂取はあるタイプの乳がんリスク低下に役立つと、Breast Cancer Research誌2011/5月で報じている。 Karolinska Institutetを中心としたスウェーデンの研究者グループが、大規模集団(乳がん患者2,818症例、対照3,111例)を対象に、コーヒー摂取と閉経期後における2種の乳がんタイプ(エストロゲン受容体陰性乳がん、エストロゲン受容体陽性乳がん)のリスクとの関連性を調べる試験を行った。
結果、コーヒーの高摂取群(5杯以上/日)は低摂取群(1杯以下)に比べ、リスク低下に関連することが分かったという。

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