【 2012/3 】

ビタミンEの摂り過ぎ、骨粗鬆症の可能性

3月4日付けの医学誌ネイチャーの電子版で、動物実験によりビタミンEの摂り過ぎで骨粗鬆症が生じる可能性が分かったと報じている。研究では慶應大学医学部の竹田秀・特任准教授や伊藤裕教授らの研究チームが、ビタミンEを1キロ当たり約600mg添加した餌を8週間与えたという。この量は、体重50kgの人が約1000mgのサプリメントを摂ることに相当する。

結果、骨密度が2割減って骨粗鬆症に近い状態になったことが分かったという。 現在の厚生労働省の人へのビタミンEの食事摂取基準は1日800mgが耐容上限量だが、研究チームの竹田氏は「今後は人への影響や、より低い濃度での骨への影響を調べたい」としているという。

ちなみに骨粗鬆症の予防では、納豆に含まれるビタミンK2(メナキノン7)が有用といわれている。骨にカルシウムが結合する際、オステオカルシンというたんぱく質がカルシウムに対して糊の役目を果たす。このオステオカルシンを作るためにビタミンK2が必須であることが分かっている。 骨粗鬆症の人はビタミンK2が少ないことが疫学的調査でも明らかになっている。

健常者は消化管で大腸菌のような微生物が常にビタミンK2を作るが、加齢や薬剤の使用過多で、消化管の微生物が弱り、ビタミンK2が減る。ふだん、納豆を食べる人は血液中にビタミンK2が多い。

ビタミンEについての最近の研究では、ビタミンEが精神機能の改善に有用であることが、Neurobiology of Aging誌12/1月号で報じられている。
Karolinska Instituteなどの研究者グループが、アルツハイマー病患者168例、軽度認知障害患者166例、認知機能正常被験者187例のデータを分析したところ、アルツハイマー病患者および軽度認知障害患者では、総トコフェロールおよび総ビタミンE摂取量が最高群の平均値に比べ85%低いことが分かった。また、総トコトリエノールは、アルツハイマー病患者で92%、軽度認知障害患者で94%低かったという。


また、ビタミンEが肺疾患予防に有用であると、Thorax誌11/6月号が報じている。
Cornell University研究者グループが、女性38,597人が参加したWomen's Health Study(WHS)のデータを分析。被験者は、ビタミンEサプリメント600IU(1日おき)+アスピリン100mgかプラセボのどちらかを投与。10年間にわたる試験で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の新規発症は、ビタミンE投与群は760例、プラセボ群は846例であった。ビタミンE投与によりCOPDリスクが10%減少したことが分かったという。

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