醗酵微生物の可能性〜排泄機能を高めてインナービューティ
〜第11回「ダイエット&ビューティフェア2012」

美容の総合展示会「ダイエット&ビューティフェア2012」が9月10日、11日、12日に東京ビッグサイトで開催された。今年は「インナービューティゾーン」が規模を拡大し、美容のみならずスポーツやダイエットサプリメント、機能性食品なども多数紹介された。この中から、株式会社機能性食品開発研究所によるセミナー「醗酵微生物の可能性 微生物が作り出す醗酵エキスにより健康美を取り戻すデトックスビューティ」を紹介する。


醗酵食品、排泄機能を高める

今年の「ダイエット&ビューティフェア2012」のフォーカスカテゴリーとして、昨今美容健康業界で不可欠なキーワードとなっている「免疫」に訴求した「イミューン(免疫)ビューティ」が話題となっていたが、ここでは発酵食品で内側の免疫機能を高めるだけでなく、排泄機能を高めるというデトックスビューティについて取りあげる。

ここ数年、麹・塩麹、ヨーグルトや乳酸菌といったさまざまな発酵食品の人気が広がっている。これらの発酵食品に多く含まれる醗酵微生物による健康効果が非常に高いと注目されているからだ。その人気の背景には生活習慣病の拡大やアレルギー疾患の罹患者数の爆発的な増大などがあるといえる。

これらの原因は多岐に渡り、何か一つに原因を特定することは困難であり、ストレスや不規則な生活、乱れた食生活や運動不足などによる「生活の質の低下による免疫力の低下」が主な原因とされている。

現代人の腸、醗酵微生物が欠乏状態

「免疫力」を高める方法というのは、免疫力を低下させない生活をする、つまり規則正しい生活をし、ストレスを減らし、食生活を整えるといった、生活の質を向上させることに尽きるとされてきたが、ここ数年はこれらに加え「腸の健康を高めること」が免疫力の向上に繋がるのではないかと期待されている。

このことからも「現代人の腸」が多くの問題を抱えていることが明らかになってきている、と桑木氏は語る。「腸の問題」とは一言でいうと「腸の汚れ」であると桑木氏。食の欧米化、食品添加物やインスタント食品の増加は便利で手頃に私たちの空腹を満たすが、その一方で私たちの食卓から野菜や果物から摂取されてきたビタミン・ミネラル、漬け物やみそ汁といった日本人が古来より摂取してきた伝統的な発酵食品の摂取機会を奪ってしまっている。

その結果、多くの日本人には食品添加物や脂質、糖分の摂取が過多となり、体の機能を調整するのに重要なビタミン・ミネラル・醗酵微生物は欠乏状態となっている。

発酵食品の摂取量が減少

そもそも私たち日本人が古来より摂取してきた伝統的な発酵食品には、腸の動きを活発にさせ、消化吸収だけでなく、体内の毒素や不要なものを排泄するのに非常に重要な役割を果たしてきた。

ここ数年で、この発酵食品や食材がこれだけ注目されているということは、それだけ意識しなければ発酵食品を摂取することが難しいということの現れであり、同時に多くの人が内臓脂肪や便秘といった腸の不快感を抱え、また腸が活性しないことから免疫が低下していると感じているのだろうと桑木氏はいう。

発酵食品の摂取量が減少する一方で、多くの現代人が体型とは関係なく脂質を過剰摂取している傾向にある。さらに多くの日本人は現在の食生活では食物繊維の摂取も圧倒的に不足しているため、腸の大事な機能である「排泄」は決して十分には行われておらず、腸内はいつも過剰な脂質や汚れが残った状態にあると桑木氏。

腸は消化・吸収の役割を担っているが、解毒・排泄の役割も非常に重要であり、この解毒・排泄の効果を高めるために私たちは常に腸を清潔で活発で元気な状態にしておく必要があるのである。そしてその鍵となるのが発酵食品であるといえる。

戦前は「醗酵」という伝統的手法で食品を保存

桑木氏は植物の醗酵エキスを研究しているが、この醗酵の役割が非常に重要であることも解説した。そもそも日本人は納豆を筆頭に発酵食品を好んで食べてきた。味噌や麹も同様である。日本には四季があるため、冬と夏では温度や湿度に大きな差があり、特に夏は高温多湿であるため食品の管理が非常に難しい。

近年は食品添加物を加えることで防腐作用を施しているが、戦前頃までは「醗酵」という伝統的な方法で食品を保存してきたというのが日本の食文化ともいえるだろう。微生物を微生物の動きによってコントロールし、さらにはこれらの微生物の働きをうまく活用し取り込むことで、健康に役立てていたのである。

乳酸菌と酵母、食品を醗酵させるのに重要な役割

遺伝子操作のような最先端技術ではなく、本来自然の中に存在している微生物や植物の働きをさらに引き出すのが醗酵という作用である。そして食品を醗酵させるのに重要な役割を果たすのが乳酸菌と酵母であると桑木氏。

桑木氏は植物醗酵エキスの乳酸菌・酵母の活用を推奨している。植物性素材(果物、野菜、野草、キノコ、穀物、海藻など)にはさまざまな栄養素が含まれるが、特にアミノ酸やビタミン等のミネラル、また最近注目されるファイトケミカルが多く、植物素材をそのまま食すよりも栄養素やミネラルが吸収されやすいからだという。

乳酸菌や醗酵促進物質を生きたまま腸内に摂取することで、腸内では善玉菌の餌となり、腸内環境の改善に貢献する。そして腸内環境が整うことで、自然治癒力や免疫力も高まり、体内の毒素が排出され、新陳代謝も活発になる。

植物性乳酸菌で腸内をデトックス

また植物性の乳酸菌や酵母といった醗酵微生物は、もともと腸の長さが欧米人に比べて長く、穀物を摂取することに適した腸を持つ日本人にこそふさわしいという。植物性乳酸菌は動物性のものに比べ苛酷な状況下でも生き抜くことのできる力強い性質を持っているといわれるからだ。

生きたまま腸に届くのはやはり動物性乳酸菌よりも植物性乳酸菌だということが明らかとなっており、腸内環境を整えるのに非常に効果的だといわれるのはこのためである。植物性乳酸菌を中心に、醗酵微生物を腸内に積極的に取り込むことで、腸内をデトックスさせることが、健康と美容の秘訣であると解説した。


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