レジスタントスターチの生理機能
〜ifia JAPAN第19回 国際食品素材展セミナー

2014年5月21日(水)〜23日(金)、東京ビッグサイトで、「第19回 国際食品素材/添加物展・会議」及び「第12回 ヘルスフードエキスポ」が開催された。同展示会のセミナーからイングレディオンジャパン株式会社の「レジスタントスターチの生理機能〜血糖値、満腹感、整腸作用の観点から」を取り上げる。


2種類の不溶性食物繊維

レジスタントスターチとは不溶性食物繊維(でんぷん)のことで、今その役割が健食業界だけでなく食品業界全体で注目されているという。

イングレディオン社の取り扱う不溶性食物繊維は2種類。一つがハイメイズ。トウモロコシ由来の不溶性食物繊維で、機能性に関する文献発表も11本以上と多い。オーストラリアで開発された成分で、糖尿病予備軍の人に特におすすめという。

もう一つがノベロース。小麦由来で、おいしさを損なうことなく添加できる不溶性食物繊維である。手軽に繊維を強化でき、おいしさを高めることもできる。

血糖値の急激な上昇を抑制

糖尿病の予備軍の人はインスリンの抵抗性が高くなっており、血糖値がさがりにくく、ますます多くのインスリンが必要になるという悪循環に陥っている。

インスリンの抵抗性を減らすには、毎日の運動、減量、食習慣の改善が鍵となる。特に炭水化物や糖質といった血中に取り込まれやすい食品は、血糖値を上昇させ、急速なインスリン分泌を促すため、血糖値の急激な上昇を抑制する食事を意識する必要があるが、これにレジスタントスターチが役立つという。

レジスタントスターチは消化酵素の影響を受けることがなく、小腸で消化・吸収されないため、インスリン分泌に影響を与えない。摂取されたレジスタントスターチはそのまま消化されずに大腸に達するため、血糖値を上昇させず、インスリンレベルも低く抑えることができる。

また消化されずに大腸に届くため、腸内細菌の醗酵により短鎖脂肪酸となり、空腹時血糖の維持管理に関与するインクレチン効果も期待できるという。

インクレチン効果とは、レジスタントスターチが大腸内で醗酵して短鎖脂肪酸になり、この短鎖脂肪酸が腸内のL細胞に働きかけGLP1というホルモンの分泌を促す。

このホルモンが血糖に応じてインスリンの合成や分泌を促す。これがインクレチン効果と呼ばれるもの。

腸内細菌の働きを促し、便量を増やす

ハイメイズには実際に血糖値管理効果を示すエビデンスが複数あり、炭水化物の代替食品として使用することで血糖値管理に役立つ。

レジスタントスターチは血糖以外にも腸内で複数の有効な性質を示す。そのため、近年は世界各国の多くの公的健康機関が、胃腸の健康のためにレジスタントスターチを摂取するよう推奨しているという。

例えば、便量を増やす。腸内細菌の働きを促すため、規則的なお通じに役立つ。短鎖脂肪酸は大腸のエネルギーになり健康維持に役立つ。また、腸内phを下げ、有害なアンモニアなどの生成を低下させる。大腸の粘膜を保護し、大腸がん細胞の発生を抑制することが期待できるという。

パンやラーメンなど、さまざまな使用が可能

レジスタントスターチはパン、ラーメン、パスタ、焼き菓子などいろいろなものに使用することができ、「より健康な商品」という打ち出しができる。

特に小麦由来のノベロースは見えないファイバーといわれ米国では知名度も高く、パンや焼き菓子にもよく添加され、弾力やしっとり感がアップし日持ちも良くなるという。

ハイメイズはサプリメントの素材や健康食品の開発により適している。見た目や味を損なうことは一切なく、EUではすでにレジスタントスターチの健康表示が可能になっているという。日本でも徐々に知名度を上げてきており、今後の商品展開に期待が集まっているという。


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