沖縄の伝統素材を活かしたヘルシーフードの魅力〜「健康博覧会2016」セミナー

2016年3月16日(水)〜18日(金)、東京ビッグサイトで、「健康博覧会2016」が開催された。 同展示会セミナーより、沖縄中小企業団体中央会・地域ブランド食材チームの「沖縄だけの食素材。その特徴を活かしたヘルシーフードの魅力」を取り上げる。


沖縄の植物、抗酸化力が非常に強い

沖縄県は日本の最南端に位置し、日本で唯一の亜熱帯気候で、高温多湿・海洋性気候・寒暖差が少ない。

またどの島も珊瑚礁から成るため土壌も他の県と違いミネラルが豊富という特徴がある。

そのため沖縄で育つ植物には他の地域には見られない個性的なものが非常に多い。沖縄の植物に共通する特徴は、紫外線の強さに比例しどの植物も「抗酸化力」非常に強いこと。

珊瑚由来の土壌で育つ植物はミネラルが豊富なだけではない。島に吹く潮風により海洋性ミネラルが十分に運ばれるため、植物に虫が付きにくく、無農薬に近い栽培が容易にできるという。

島野菜には「疲れに良い」といった意味も

ここ数年、平均寿命の順位が低下しているが、沖縄は長寿の郷として知られる。やはりその背景には抗酸化・高ミネラル・コラーゲンといった成分が豊富に含まれる食材をたくさん摂ってきたことがあると考えられている。

沖縄の伝統的島野菜は現在28品目ある。島ダイコンに島ニンジン、チシャ、ゴーヤー、イーチョバー、ウンチエー、オオタニワタリ、カンダバー、クワンソウ、ヒル、サクナ。

そして、シカクマメ、シブイ、シマナー、ターンム、紅イモ、ナーベラー、ニカナ、ノビル、ハンダマ、フーチバー、フーロ豆、ヤマンム、ンスナバー、島カボチャ、野菜パパイヤ。こうした島野菜は「風邪に良い」「疲れに良い」という意味がある。

島独自の優れた健康天然資源が豊富

その他、沖縄の特徴的な天然資源として、月桃、島唐辛子、ピパーツ、秋ウコン、サトウキビ、モリンガ、ギンネム、ハイビスカスなどがある。これらは、化粧品やサプリメント、健康食品などに使用されている。

また、食品としてはマンゴー、パイナップル、アセロラ、ドラゴンフルーツ、シークワーサーなどが、その高い栄養価と優れた機能性で注目を浴びている。

海洋資源も豊富で、もずく(フコイダン)、海ブドウ、アオサ、マグロ、車エビ、ウミヘビ、サメ(肝油)などが、健康食品として人気が高い。また、珊瑚パウダーも注目されている。

このように沖縄には島独自の優れた健康天然資源が豊富で、今後はその効果効能のエビデンスのとりまとめや、加工技術、流通コストの低減などが課題となっている。

沖縄の植物、野草に近いほど毒性が強い

特に加工技術については重要で、沖縄の植物は野草に近ければ近いほど、毒性が強いものや、安易に濃縮すべきでないものも多くあり、それらは先人の知恵や伝統からも学ぶことが多い。

先人の知識の集大成の一つとして、沖縄唯一の本草書「御膳本草」というものがある(現在はハワイ大学に原本がある)。

これは1832年(天保3年)に渡嘉敷 親雲上通寛(とかしきぺーちんつうかん)が編纂し琉球王府へ献呈したもので、例えば「クーガ芋」の滋養強壮作用、不老長寿薬としての役割などが記載されている。

クーガ芋、若返りホルモンが豊富

クーガ芋といえば陸上選手のウサイン・ボルト氏が好んで食べるイモとして一躍有名になった。

「畑のうなぎ」「幻の琉球自然薯」の異名を持つイモで、筋肉減少抑制作用やアルツハイマー予防作用などが報告されている。

このイモには若返りホルモンといわれるデヒドロエピアンドロステロンと非常に構造が似ているジオスゲニン(DHEA)が一般的な国産山芋と比較して約200倍も豊富に含まれているという。

このようなエビデンスの取得は、近年琉球大学医学部と共同研究することで次々に進められているという。

他にも、注目されているのが、ミネラルだけでなくにがりが非常に豊富な「石垣の塩」。休息のサポート、ストレス低減、睡眠改善などの作用で知られる「クワンソウ」。沖縄近海で捕獲され8時間以内に加工される鮮度の高い深海ザメ(アイザメ)の「スクワレン」など。

お茶やパウダーに加工して摂取

島野菜や島の野草にはそのまま食するのに適しているものとそうでないものとがある。

適していないものは、お茶やパウダーに加工して摂取する伝統があるが、それを受け継ぐ形でさまざまなパウダー商品にも注目が集まっているという。

例えばウージーパウダー(宮古島産さとうきび100%)は食物繊維が生ごぼうの15倍も含まれるが、これをパンやケーキの生地に混ぜ込むとヘルシースイーツになる。

他にも、ダイエット効果などで注目されるシークワーサーのパウダーは、粉末化することで果皮部分の栄養までまるごと摂取できる。

沖縄の健康食材をバイヤー向けにネット公開

また、紅芋パウダーは食品の色づけにも利用できるし、泡盛酒粕パウダーはアミノ酸が豊富に含まれ、サプリメント素材として注目されている。

これらの沖縄独自の豊かな植物をより広く流通させるため、沖縄県産業振興公社では「沖縄健康・機能性食品バイヤーズカタログ」というネットサイトを公開している。

バイヤー向けのマッチングサイトで、沖縄県内の各企業が自信の商品を次々に掲載していく進化型マッチングサイトになっているという。地理的に離れているため、知られていない健康食材もまだ多い。沖縄の宝で健康ビジネスに花を咲かせたいとした。


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