バイオブラン、C型肝炎への有用性が明らかに
〜バイオブランセミナー2016


2016年7月31日(日)、ベルサール新宿グランドで、「バイオブランセミナー2016」が開催された。バイオブランは免疫調整のサプリメントとして1998年に発売、現在日本を含む世界55カ国で販売されている。有用性に関する論文は56、学会発表は131におよぶ。当日はNK細胞の免疫研究の第一人者であるUCLA/Drew大学のMamdooh Ghoneum氏と浜松医科大学腫瘍病理学講師の遠藤雄三氏が講演を行った。

「バイオブランのC型肝炎と胃がんの治療における新知見」 UCLA/Drew医科大学 Mamdooh Ghoneum

世界で約1億8500万人がC型肝炎に罹患

バイオブランは私たちに明るい光を与えてくれる素晴らしい商品である。バイオブランと出合った25年前、初めてマウスで実験を行った際、2日でマウスの免疫系が著しく良くなったことに大変驚いた。しかも何度実験しても同じ良い結果で、この驚きのとりことなり今も実験を繰り返している。バイオブランに対する驚嘆の気持ちは今も継続している、とゴーナム氏。

以下、ゴーナム氏はバイオブランのC型肝炎への有用性について次のように報告した。

バイオブランの優れた機能性については、すでにいくつも知見がある。しかし、C型肝炎にも効果があるというのは非常に驚きであった。肝臓は体の要となる重要な臓器だが、C型肝炎ウイルスはこの肝臓を攻撃し破壊してしまう。

世界でこの恐ろしい疾病に罹患している人が約1億8500万人もいる。人口の4%以上にC型肝炎の発症が見られるのが、モンゴルやパキスタンなど。実はエジプトが最も多く、人口の15%にC型肝炎が見られる。

C型肝炎ウイルスに感染した後の経過としては、慢性肝炎から、肝硬変に、そしてそのまま亡くなる場合もあれば、肝細胞がんとなって死に至るケースもある。

バイオブラン、肝炎に対し拮抗作用

いずれにせよこの病気については多くの医師が頭を抱えている。この40年の主要な治療法としては抗ウイルス薬のインターフェロンを投与するという方法であった。

今年、「サバルディ」という新たな抗ウイルス約がFDA(米国食品医薬品局)より発表された。「インターフェロン」の約1万ドルに対し「サバルディ」は8万ドルと非常に高額で、途上国では医療費が深刻な状態となっている。

そこで、バイオブランにC型肝炎ウイルスに対する有効性がないか研究するに至った。

結論から言うと、バイオブランが肝炎に対し拮抗作用を持つことが明らかとなった。試験デザインとしては18年前に行った「バイオブランのHIV-1型に対する研究」のデザインをベースにし、カイロ大学の協力も得て行った。

バイオブラン、低コストで健康状態も良好

具体的な試験内容は次の通りである。
39名のC型肝炎の患者を17名と22名の2群に無作為で分類。バイオブラン単独投与群(1日1g経口投与)とインターフェロン+リバビリン(抗ウイルス薬)投与群に分け、3ヶ月後に経過を測定した。

その結果、バイオブラン単独投与群については統計的優位差を持ってウイルス負荷量が減少し、有効と判定された。一方、コントロール群であるインターフェロン+リバビリン投与群も、統計的優位差を持ってウイルス負荷量が減少した。

しかし、それぞれ毒性について調べたところ、バイオブラン単独投与群は健康状態が良好であったのに対し、コントロール群は発熱、貧血、頭痛、疲労感といった毒性が示された。

またコストについて、バイオブランは300ドル程度しかかからなかったが、コントロール群は高額となった。

バイオブラン、優位にNK細胞を活性

では一体どのような作用機序でバイオブランはC型肝炎ウイルスに効果を発揮したのか。

まず免疫細胞の中でもNK細胞とCD8陽性T細胞という2つの免疫細胞が重要である。この2つの細胞は24時間我々の体内で異常細胞がないかをパトロールし、異常があれば直接対決して死滅させるという役割を果たす。

また同じく免疫細胞の中でもCD4陽性T細胞などはインターフェロンを産生することによってウイルスやエラー細胞と戦う。この自ら産生するインターフェロンは当然100%ピュアで副作用の心配がない。

しかし医薬品としてのインターフェロンは99%ピュアであっても残りの1%がそうでないと問題となる。

NK細胞には2種類の顆粒グランザイムとペリフォリンが含まれている。エラー細胞やウイルスなどの標的と対峙すると、この顆粒が細胞から飛び出して標的細胞の中に侵入し、爆発することで標的細胞を死滅させる。

バイオブランを投与することにより、この顆粒が増えることが分かった。また、何もしないNK細胞とバイオブランを投与したNK細胞では、バイオブランを投与したほうがグランザイムの量が明らかな優位差を持って増えることが分かった。

これらのことから、バイオブランはC型肝炎の新規治療法の一つとして有効であるということ。また、安価で毒性がないということがいえる。これは米ぬか由来のサプリメントがウイルスを攻撃するという歴史上はじめての朗報である。

バイオブラン、胃がん予防の有効性示唆(マウス実験)

次に胃がんについてバイオブランはどのように有効であるか。試験デザインとしては10匹のラットに発がん物質を2週間投与、その後がんが発現しやすいように4週間塩化ナトリウム(食塩)を投与、約6ヶ月あたりから胃がんが発がんするようにラットを準備した。

バイオブラン群にも同じように発がんモデルラットを飼育するが、塩化ナトリウムにバイオブランを加えたものを投与することで、両者を比較した。するとがんの前段階であるディスプレイジア(異形成)が前者のラットでは60%起こったのに対し、後者では30%しか起こらなかった。

最終的にがんに至ったのは前者で20%、後者は8%で胃がんの予防にバイオブランが有効であることが示唆された。同じく胃がんの発現状態を診ることのできるKI67という腫瘍マーカーを用いて調べたところ、前者は50%、後者は38%であった。

バイオブラン、効果が一時的ではなくハイレベルで維持

家族歴や食べ物による胃がんの心配がある場合にバイオブランを摂ることや、キムチなどの高塩蔵食品を摂取することが多い場合にもバイオブランを摂ることが望ましいといえる。

バイオブランを投与することで、がん細胞が進行するのをブロックする可能性があることが示唆されている。またバイオブランはアポートーシスの働きを促進させることも報告されている。

アメリカではすでに500種類以上もの免疫強化物質BRMsが報告されている。中でもバイオブランが他と違うのはその効果が一時的ではなくハイレベルで維持される点にある。

一般的に免疫強化物質は一時的に免疫が活性しても2〜3ヶ月で活性が元のラインに戻ることが多い。しかしバイオブランについてはそのようなことが起こらず、ハイレベルで免疫を維持し続けることが最大の利点である。乳がんや皮膚がんといったケースでもバイオブランの有効性がすでに報告されている。

従来の標準療法だけでなく、NK細胞やT細胞を活性する免疫療法が注目されているが、まさにバイオブランがこれらを高めるのに有効といえる。

「バイオブランと免疫調整を強靭にするメリット」
国立大学法人浜松医科大学腫瘍病理学 遠藤 雄三

免疫は「高める」ことより「バランス」が大事

遠藤氏はバイオブランの免疫調整作用について次のように報告した。

「免疫力を高めよう」という言葉をよく聞くが、免疫は「高める」ことより「バランス」が大事。免疫のバランスを強靭にすることが大切である。 私たちの体内における微小環境で病態を含めさまざまなやりとりが起こっている。

この微小環境は免疫系・内分泌系・自律神経系という3つの系統の相互関係で成り立っており、これが自然治癒力さえも司っている。

そもそも私たちが口にしたものが本当に体に入っているのかということ。私たちの体はまるで竹輪のようになっていて、口から消化管、お尻まで空洞でつながっている。

つまり食べたものが体内の各部位に到達するのはほとんど偶然で、毛細血管・リンパ管・末梢神経・血管・ホルモン・毛細血管といった微小環境こそが体内であるといえる。

免疫とは「寛容」と「拒絶」の世界

微小環境ではさまざまな物質が代謝している。がん細胞の微小環境さえ物質代謝が行われ栄養が補給されることで増殖する。

この微小環境で敵か味方か判断し、不要なものを適切に「拒絶」する力があるかどうかが免疫バランスを強靭化する、ということである。

例えば胎児について考えてみると、母体からすれば胎児は半分「自己」であるが半分は「非自己」であり、非自己であるという立場に立てば母体にとって胎児は厄介な存在といえる。

このやっかいな存在を追い出そうとする力を抑え、10ヶ月の攻防を経て赤ちゃんは無事に誕生する。つまり子を宿している10ヶ月の間、母体は胎児に対して「寛容」であったといえる。

免疫とはまさに「寛容」と「拒絶」の世界である。異物であるがん細胞に対し「寛容」であればがん細胞にやられる。しかし、「拒絶」できれば撃退することができる。

免疫は高まり過ぎるとアレルギー反応が起こる

赤ちゃんの話しに戻ると、赤ちゃんは生まれた瞬間が完全な「拒絶」状態といえる。

分娩後3〜4日で胸腺が大退縮を起こし「自己」と「非自己」の認識がスタートする。つまり「自己」には寛容、「非自己」には拒絶の仕組みができあがり、これを機に異物が来たら拒絶することができるようになるが、体の中にできる細胞、つまり自己から悪くなったものは拒絶できないというジレンマが起こる。

生後1年というのは赤ちゃんの自己の免疫が完全に確立し、自然免疫が最も発達する時期である。そのため、産後10ヶ月に免疫バランスを強靭化するのが望ましい。

とはいえ、免疫はある一定レベルまで高めれば良いのであって、高まり過ぎるとアレルギー反応が起こることもある。例えば卵白などに含まれるアルブミンは体内に摂取して7日くらいで自然免疫(抗体)ができる。

数日で自然免疫が低下するが、2回目の摂取でまた高まり免疫バランスが強化され、体内でIgG、IgAになると抗体となる。しかし、アンラッキーなことにIgEとなった場合はアレルギー抗体になり、アレルギー反応が起こるようになる。体内でIgGやIgAになるかは入れてみなければわからない。

自然治癒力は血液が鍵、食医同源

免疫力は高めすぎるのではなく、いろいろな菌に触れてバランスを調整する、というのが正しい。免疫系の成長は環境に左右される。例えばモンゴルで、テントで昔ながらの暮らしをしている人と、都市で生活している人とを比較すると後者にアトピーや花粉症患者が多い。

また生まれてくる時に帝王切開であった場合は無菌状態に近いため、産道を通ることによって得られる抗原刺激を受けていない。そのため、出産はやはり自然分娩が望ましい。

自然治癒力とは結局のところ血液が鍵となる。そして食べ物によって維持や強化を行うことができる。これは医食同源ではなく食医同源といったほうが正しい。

免疫バランスを強靭化することが大切

免疫系とはマクロファージが中心となり、千手観音のようにリンパ球をコントロールしているようなイメージである。免疫系・内分泌系・自律神経系のすべてが相互作用し合い御神輿を担いでいるように仲良く助け合って働いている。

バイオブランはこの調整能力の強靭化に役立つだけでなく、炎症を抑制し、抗がん剤などの副作用を軽減することなども報告されている。

とにかく、免疫調整能力の強化については、産後1年で強靭化すること。加齢とともに免疫系もフレイル(虚弱)を起こすが、虚弱が起きたり、がんなどの病気になった後も「拒絶」の能力を高め免疫バランスを強靭化することが大切である。

今、加齢による筋肉の虚弱=フレイル・サルコペニアという言葉が健康長寿の合い言葉になっているが、免疫系の虚弱に対しても強化を図ることが大切である。


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