時計遺伝子に働きかける ネムノス
〜Ifia JAPAN HFE JAPAN 2017


2017年5月24日(水)〜5月26日(金)、東京国際展示場で、ifia JAPAN 2017 第22回 国際食品素材/添加物展・会議 HFE JAPAN 2017 第15回 ヘルスフードエキスポが開催された。同展示会セミナーより、コンビ鰍フ「時計遺伝子に働きかける ネムノス〜時計遺伝子への影響とヒト睡眠試験」を取り上げる。


時計遺伝子でバランスよく活動

ここ数年、時計遺伝子の研究がどんどん進んでいる。私たちは「明るくなるから目が覚め、暗くなるから眠くなる」と思い込んでいたが、実はそうではない。

私たちの細胞に「時計遺伝子」なるものが組み込まれており、その働きで、体が約24〜25時間のリズムでバランスよく活動していることが解明されている。

例えば、洞窟の中で過ごしたとしても私たちの体内リズムは24〜25時間周期で繰り返される事も分かっている。

しかも時計遺伝子は人間の体を構成するすべての細胞だけでなく、地球上に存在する植物や微生物にも存在していることがわかっている。

これがない生命は地球では生き延びられない、あるいはすでに地球から淘汰されてしまっている、と考えられている。

体内時計とは、自転と公転によってつくられる生命の絶対的なリズムに合わせるためのシステムであるとされている。

高まる体内時計調整素材のニーズ

しかし、24時間光を獲得した現代人はこの絶対リズムに逆らい、その結果、様々な弊害も生じている。体内のあらゆるホルモンは体内時計に支配されているし、内臓も骨も体内時計に支配されている。

ホルモンや内臓の働きがうまくいかなければ体調を崩すのは当然で、もちろん骨が弱くなることは健康寿命を縮めることに直結する。また、不眠の問題を抱える人も年々増加している。

眠りについてもぐっすり眠れない、何度も目がさめる、寝ても疲れが取れない、といった問題を抱え、それが心身の不調の原因となっている人は少なくない。

市場では「体内時計調整素材」のニーズが高まっているが、そうした中、ネムノキ樹皮(合歓皮)から抽出した物質に時計遺伝子を与える作用が見出せたという。

細胞内の時計遺伝子を動かす

ネムノキはマメ科ネムノキ科の落葉高木で、中東、中国南部、朝鮮半島、日本では本州、四国、九州と幅広く自生している。ネムノキ樹皮は古くから生薬として知られており、サポニンやタンニンなどが豊富に含まれ、解鬱・活血・止痛・強壮・興奮・利尿・鎮痛などに用いられてきた。

そこでネムノキ樹皮から抽出した「ネムノス」でin vitroによる細胞感作試験を行ったところ、ネムノス添加群とプラセボ群では添加群において「位相」の変化が確認された。

ネムノスが細胞内の時計遺伝子を動かす可能性があることが示唆され、概日リズムの乱れを調整する成分として期待されることが報告されたという。

概日リズムの乱れを調整

また哺乳類においては特に、時計遺伝子が各組織で連携しているため、一つのリズムが崩れるとドミノ倒しのように他の組織のリズムも崩れやすくなり精神的にも身体的にも不調をきたす「リズム異常症」が引き起こされる。

こうしたリズム異常症を引き起こしたマウスにネムノスを3日連続経口投与し、どのような変化が起こるかを観察した。

その結果、ネムノスを投与したことで、各組織の「時計遺伝子タンパク質PE2」が有意に変化し、ネムノスが概日リズムの乱れを調整する可能性が高いことが示されたという。

他にも、マウスの試験において、ネムノスの経口投与で肝臓のPer1、Per2、Bmal1といった時計遺伝子が調整される可能性も示唆されており、リズム異常症の緩和に役立つ可能性があることが示唆されたという。

入眠の改善、睡眠の質や量の増加

さらにヒト試験も行われているが、被験者(29〜49歳の健常者・男性5名、女性4名)にネムノス200mgを10日摂取し、13〜16時のタミングで眠気状態の評価をする試験を行った。結果、9名中6名が午前中の眠気が抑えられたという。

また、午後の眠気が抑えられ、気分が良くなったことが報告されたという。

この試験はVAS(視覚的アナログ評価尺度)で評価を行っているが、覚醒度・意欲・気分・集中力が有意に増加していることが確認され、被験者全体において朝方傾向が強くなったことが示唆された。

これは入眠が改善され早くなったことから、睡眠の質や量が増加し、午後の眠気が減少したためと推察される。

これらの幾つかの試験によって、ネムノキ樹皮から抽出したネムノスには睡眠の質を向上させ、日内リズムを正常化させる可能性が示されたが、今後さらに試験と研究を重ね、より幅広く健康食品素材として利用されることが期待される、とまとめた。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.