EPA(エイコサペンタエン酸)、アスリートをサポート〜ウェルネスフードジャパン

2018年7月25日〜27日、東京ビッグサイトにて「ウェルネスフードジャパン」が開催された。同展示会セミナーより、横井 香里氏(日本水産 食品機能科学研究所)の講演「EPAの最新スポーツ研究」を取り上げる。 


EPA、アスリートのパフォーマンスを向上

これまで「油」はアスリートにとって避けたい栄養素という認識を持っていた人も多いだろう。

しかし、ここ数年で「油にも種類がある」「良質な油がある」「良質な油は健康維持に不可欠」という認識が高まり、アスリートも積極的に良質な油を摂るようになってきている、と横井氏。

中でも、N-3系に分類される魚油のEPA(エイコサペンタエン酸)はアスリートからの注目が高い。EPAは、体内では合成されない「必須脂肪酸」の一つで、ビタミンやミネラル、食物繊維などと同じく、健康な体の維持に不可欠な栄養素である。

DHAと並び「生活習慣病予防」や「血液サラサラ」「抗炎症」のイメージが強いが、最新の研究ではアスリートのパフォーマンスを向上させる機能があることが次々に解明されている。

脂質は体内で「エネルギー源」になり、「細胞膜を構成」し「生理活性物質」になるという重要な役割を果しているため、アスリートにとって不可欠であることは間違いない、と横井氏。

EPA摂取で、タイムが短縮

ではアスリートがEPAを摂取することで具体的にはどのような効果があるのか。その一つが「パフォーマンスの向上」であるという。

順天堂大学の駅伝選手に1日1.6gのEPAを4か月摂りながらトレーニングをしてもらった試験では、摂取した群はしていない群と比べ、51秒もタイムの短縮が図れたという(未摂取群は5秒の短縮)。

これは、EPAの摂取により、細胞膜を構造する脂質の割合がアラキドン酸優位からEPA優位に変わったことにより、赤血球が柔らかくなり、毛細血管を通過しやすくなったためと考えられる。

また、全身に赤血球が運ばれやすくなったことで、運動時の疲労が軽減することや心臓への負担が軽減したことによるもの、と横井氏。

また、EPA摂取で「痛みに強くなる」という効果もあるという。アスリートは筋肉や関節にダメージがかかりやすく、痛みを感じながらパフォーマンスをしている人も少なくない。

しかし、スポーツをしてEPAを摂取した場合としなかった場合を比較すると、48時間後には、摂取群において血中の炎症物質の減少=筋肉痛や痛みの減少がみられた。

つまり、EPAの抗炎症作用が骨格筋の細胞の損傷を抑制し、損傷された部分の炎症を抑制することで、関節と筋肉へのダメージを緩和している、と横井氏。

EPA、アスリート特有の悩みを解決

さらに、EPAによる「理想の体づくり」の効果もアスリートにとっては魅力である。EPA摂取で、食欲がコントロールされやすくなる。またエクササイズとの併用で筋肉量を増やし脂肪を減らせるということがある。

血液中に含まれるEPAの量とアラキドン酸の比率を比べた時、EPAの比率が高い人ほど内臓脂肪の量が少なく肥満の人が少ないことも日本人男性の調査で分かっている。

アスリートの悩みといえば「パフォーマンスの維持・向上」「筋肉痛や関節痛などの痛み」「体型維持」の3つに絞られるが、EPAはこの3つのすべてにプラスに働きかけ、アスリート特有の悩みを解決する「良質かつ不可欠な脂質」といえるのではないか、と横井氏。

もちろんアスリートだけでなく、スポーツを行うすべての人、健康維持に努めたいすべての人にEPAは不可欠である。

今、スポーツサプリメントの市場に注目が集まっているが、ニッスイでは西武ライオンズの菊池雄星選手、トライアスロン日本代表佐藤優香選手など、多数のアスリートをEPAでサポートし、効果を体感してもらっているという。

これからもアスリートから一般のスポーツ愛好者まで、EPAを活用し安全で長くスポーツを楽しめるような体づくりのサポートができればとした。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.