食品の認証制度で地域を活性〜第17回ダイエット&ビューティーフェア

2018年9月10日〜12日まで東京ビッグサイトにて、「第17回ダイエット&ビューティーフェア」が開催された。この中から、同展示会セミナーより「地域発高付加価値食品の紹介」を取り上げる。


特定保健用食品に続き、食品業界では「機能性表示食品」が話題となっているが、同じようなシステムを各地方自治体でも構築しようという動きが高まっている。

地方には独特の特産品や農産物などが多い。それに付加価値をつけてより多くの消費者に届けようという試みもあるし、消費者側にも「より安心できるものを手に入れたい」というニーズがある。ここでは北海道・静岡・四国の取り組みを紹介する。

北海道の機能性表示制度「ヘルシーDo」

北海道は一次資源が豊富だが、付加価値が低いことがかねてからの課題であった。例えば、明太子。多くの人が福岡(博多)のものと思っているが、ほとんどが北海道産のものを博多で加工している。

また伊勢名物の赤福も小豆はもちろん、もち米も北海道産なのに、伊勢で加工されているため伊勢を代表する銘菓となっている。

このように、北海道の一次産品が他県で加工され付加価値を高めているのに、道内ではそれができていない。

そこで、道内の食品に付加価値をつけるために、「ヘルシーDo」が誕生した。これは、北海道産の機能性素材または北海道で製造された加工食品を対象に、ヒト介入試験の査読付き論文があれば北海道庁が認定するという制度である。

一般的にヒト介入試験はハードルが高いとされている。しかし、ヘルシーDoでは北海道情報大学や江別市立病院、臨床検査センターなどが連携。

江別市に住む地域ボランティア6000人による「江別モデル」というシステムが確立され、道内でヒト試験まで完結できる仕組みが構築されている。

平均して29.2%の売り上げ増

ヘルシーDoは、トクホ食品や機能性表示食品と違い、具体的な効果効能を商品に記載することはできない。

しかし、認定マークとロゴがあるため「ヒト試験による科学的根拠がある」ということをアピールするのに十分役立っている。現在、認定製品は50社96件、106商品ある。

また機能性表示制度では認められていない嗜好品も対象になっており、ヘルシーDoの認証マークをつけたことで、平均して29.2%の売り上げ増となり、価格の安定や大手流通やこれまでと違う販路への採用など、波及効果も広がっているという。

ヘルシーDoは、小規模事業者でも手軽に参入でき、地域ブランドとして認定企業が共同でPRできるといったメリットもある。ちなみにヘルシーDoと機能性表示の両方を取得している商品も出始めており、商品の付加価値を上げるのに大いに役立っているという。

静岡県のフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト

静岡県は、人口は日本で第10位(約370万人)だが、食料品・飲料等の合計製造品出荷額は2兆3000億円を超え、全国第2位(1位は北海道)を誇る。しかしながら、昨年までは十年連続で全国1位の出荷額であったため、今巻き返しを図っている最中だという。

あまり知られていないが、静岡は全国で5位の事業所数を誇り、ハウス食品、明治、ヤクルト、はごろもフーズ、サッポロビール、アサヒビールといった日本を代表する企業も多く所在している。ちなみに、わさび、みかん、ジュース、レトルト食品、サプリメントなどは日本一の生産額・生産量を誇る。

そうした静岡県が力を入れているのが「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト」で、これにより食品関連産業をさらに活性化することで「静岡の経済発展」と「世界の人々の健康増進」が実現することを目指しているという。

機能性表示食品の開発を支援

このプロジェクトにはいわゆる産官学だけでなく、銀行や民間の消費者も積極的に加わっているのが大きな特徴である。

プロジェクトが具体的に行っている施策の一つに「機能性表示食品の開発支援」がある。

静岡県立大学と静岡県衛生課がフーズ・サイエンスセンターとなり、消費者庁への届出書類の作成の手伝いや科学的根拠の評価、社内体制の確認など、企業による届出販売を実現するためのバックアップを積極的に行っている。

こうした取り組みにより、消費者庁に許可されている製品も少なくない。機能性表示食品の製造業者を都道府県別に調査すると、静岡県が1位で、382製品になる。

機能性表示食品は国外への展開も期待されているものが多いため、これからも静岡県としてバックアップを続け、静岡の食品関連産業がさらに活性することを期待しているという。

四国のヘルシーフォー

四国では一般財団法人 四国産業・技術振興センターが主体となり、保健機能食品とは別に食品の安全性・機能性に関する「科学的根拠の存在」を表示する、北海道の「ヘルシーDo」のような「四国健康支援食品制度」を展開している。

「ヘルシーフォー」のフォーは四国のことを意味し、健康な四国を創造していくことを目指している。この制度は平成29年6月に開始され、第一回の認証では4商品が認められている。

対象となるのは、四国で製造されている商品、四国に由来のある機能性素材が使用、あるいは最終製品が何らかの形で四国に関与しているもの。

ヘルシーフォーでは、商品の安全性と法律的に問題ないことが確認でき、国内で行われたヒト介入試験が完了しているなど一定の条件を満たしていれば(機能性表示食品と同等のレベル)、評価会議と審査委員会、促進協議会などの組織によって根拠の存否についての評議や機能性の審査などが行われる。

これが通ると、手数料などの諸費用を収めた後に商品パッケージ等に独自の認証ロゴが表示できる(1年更新)。

認証までのプロセスは消費者庁が主体となっている機能性表示食品の認証と同じレベルのため、機能性表示やトクホといった国の制度の「入り口」になっているケースも見られているという。

各地方自自体で「食品の機能性」の取り組み

他にも、沖縄県や新潟県などでも同様の取り組みが行われており、地方自自体や支援機関、経済団体などで組織される「食品機能性地方連絡会」では、各自治体の代表者などが積極的な意見交換会の開催などに取り組んでいる。

どの団体も「制度の知名度向上」「ナショナルブランドの育成」「新たな機能性素材の開発」などの課題はあるが、地域活性や地方創生などへの貢献と消費者の健康維持増強に役立つ制度に育てていきたいとしている。

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