エゾウコギ、運動機能や抗肥満で着目
〜第24回ifia JAPANセミナー


2019年5月22日(水)〜24日(金)、東京ビッグサイトにて「第24回ifia JAPAN(国際食品素材/添加物展・会議)」が開催された。同展示会セミナーより備前化成鰍フ講演「代謝マスタースイッチオン!UKOGINの運動機能向上と抗肥満効果」を取り上げる。


「健康寿命」で、エゾウコギに着目

備前化成鰍ヘビタミンEやオメガ3系素材などを中心に健康食品のパイオニアとして自然素材の開発・製造を行なっている。

超高齢化を迎えた日本の社会問題として、「寿命」と「健康寿命」の開きをどう縮めるかが課題となっているが、この問題に貢献できる天然素材・自然素材を探求し続けているという。

「寿命」と「健康寿命」の差の大きな要因として、「肥満」と「運動不足」が挙げられる。同社ではこれらの解決に役立つ素材を検討し、「エゾウコギ」に着目したという。

漢方薬やお茶として古くから利用

エゾウコギは別名「シベリアニンジン」とも呼ばれている。高麗人参と同じウコギ科の仲間で、世界四大人参の一つとされる。

日本では北海道の広葉樹林原生林に自生しているが、非常に寒さの厳しい環境を生き抜く生命力を備えた植物であることが知られている。

日本以外では中国やロシアなどの限定的な地域にしか自生しない、非常に貴重な植物である。古くから漢方薬やお茶として多くの人々に利用され、高い知名度と豊富な食経験がある。

日本では長野オリンピックの際にスキージャンプやスピードスケートの選手らが取り入れていたことでも話題になった。またロシアの宇宙飛行士が愛飲していたことでも脚光を浴びた。

運動機能や抗肥満効果について研究

エゾウコギは生薬にも使われており、滋養強壮、抗ストレス、疲労回復、気持久力の向上、免疫力の維持向上などに優れた作用を発揮することが報告されている。

しかし、エゾウコギ特有の機能性関与成分が「エレウテロシドB」「エレウテロシドC」「イソフラキシン」「クロロゲン酸」であることは分かっているが、体内動態やメカニズムについてはまだ十分に解明されていない。

そこで備前化成では立命館大学スポーツ健康科学研究部と共同研究を行い、エゾウコギの運動機能向上や抗肥満効果について研究を行なったという。

運動機能向上については、エネルギー代謝を包括的に支配するタンパク質細胞のAMPKがエゾウコギを摂取するとどのような変化するかについて研究した。

AMPKは運動でも活性し、活性すると代謝が上がったり、脂肪合成が抑制されたりするが、ある種の食品や栄養素を摂取することでも活性することが分かっている。

研究の結果、エゾウコギを摂取することでも運動と同様にAMPK活性が見られた。つまり、エゾウコギで十分な運動ができない高齢者や中高年層の代謝や健康維持に役立つことが考えられた。

脂肪の合成を抑制

抗肥満作用については、脂肪細胞の肥大化に関わるPPARγという細胞の変化に注目した。研究の結果、エゾウコギを摂取するとPPARγの発現が抑制され、脂肪細胞の肥大化が抑制された。

さらに、すでに肥大化している脂肪細胞の分化(増殖する)を抑制したり、脂肪細胞が小型化する変化がみられた。

このようにエゾウコギに脂肪合成の抑制作用があることが確認され、滋養強壮や疲労回復だけでなく抗肥満効果も持つことが考えられた。

健康寿命延伸に不可欠な機能性植物

現在、備前化成では原料を100%エゾウコギとし、有効成分であるエレウテロシドBとEを1.0%以上抗含有させ、さらにイソフラキシジンも規格化した、エゾウコギ100%のエキス粉末「UKOGIN」を開発。

「UKOGIN」にも運動能向上や抗肥満作用効果があることがヒト試験で確認できているという。

「UKOGIN」は粉末であるため、錠剤、カプセル、顆粒、食品添加とさまざまなバリエーションで使えるというメリットがある。

健康寿命延伸に不可欠な「肥満解消」と「運動不足解消」をサポートする優れた機能性植物といえる、とまとめた。


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